部屋の中央に置かれた大きな鳥籠
彼女はその鳥籠の中でただじっと息をしていた
人間ではない
動物ではない
しかし生きている
いつから居るのか誰も知らない
きっと彼女ももう覚えていない
永遠とも思える長い長い時の中
彼女は待っている
それは昔昔のおとぎ話
遥か先の未来を見据えた人身御供
彼女はその時のためだけにただじっと息をしている
人間には無い
動物にも無い
特別なチカラ
いつ使われるのかまだ分からず
故に彼女は家に帰れない
永遠とも思える長い長い時の中
彼女は待っている
それは現代のおとぎ話
来たる未来のために取り遺された神話
彼女は窓の外の鳥達をただじっと見つめている
恐怖は無い
悲しみも無い
ただ帰りたいだけ
いつまでも続いて行く孤独
それを彼女はもう数えていない
永遠とも思える長い長い時の中
彼女は待っている