2025年4月9日水曜日

王蛇

跪きなさい

誰も知らない霧深い次元
一匹の大蛇が目を覚ました
蔦に覆われた城の地下深く
赤紫色の瞳を光らせ
王はのそりと鎌首をもたげる

頭を垂れなさい

誰もがいなくなった終の次元
かつての王者は目を細めた
霧に覆われた森の奥深く
数多命屠る牙を尖らせ
王はふるりとその身を震わす

畏れなさい

誰も命果てた果ての次元
かつての聖者は目を閉じた
闇に覆われた傷はなお深く
荒れた大地に鱗を捻らせ
王はそれでも前へと進む

前へ 前へ 前へ
百年でも千年でも
例え一万年を越え百万年経とうとも
かつての王蛇は灯火を探す
その果てにその身朽ち果てようとも
それが民の願いであるならば
そして己が信念であるならば

白百合に囚われる

黒い髪、白い髪 黒い瞳、緑の瞳 傷だらけの体、玉のような肌 顰めっ面、微笑み 隙のない佇まい、いつでも殺せそうな儚さ 執事、主人 守る者、守られる者 ……あぁ二人は全く違う。 愛しい人、こんなに違うのにあなたは私を愛してくれる。手を差し伸べてくれる。 その美しい手で私を救ってくれ...