2025年3月14日金曜日

たらし

やぁやぁお客さん、あんた見ない顔だね旅人かい?

まぁまぁちょいと愚痴を聞いておくれよ

そこでみたらし団子を食べてる男は人誑しでね

美味しいもんに目がなくてよく涎を垂らしてるのさ

そんな顔に女も男も誑されほいほい飯をあげちゃってさ

そんであまりに美味しそうに目と頬を垂らしながら食うもんだからさ

みんなあの男が行った飯屋や菓子屋はこりゃあ美味そうだと思って我先にと食べたらしい

まったくこちとりゃ商売あがったりだよ

なんでそんな憎ったらしいのかって?そりゃああたしは瓦版を作っているからね

流行りになりそうなの物を探ってそれをお客さんに広めるのがあたしらの仕事さ

ようは文字という釣り糸を垂らして世論と言う名の生簀に新しい娯楽を送るのさ

まっ、あたしの仕事はそん中でもウチの班長の腹に来たらしい飯に関してだがね

これでもあたしの文を読んだ奴らは腹を鳴らして涎を垂らしちまうと言われる程度には得意なのさ

特に鱈料理に関しては得意中の得意さ!

だけど世間はそんなあたしの文字よりもあの憎ったらしい鼻垂らしが良いらしい

ああ恨めったらしい!もういっそと何度も思ったさ!

だけどあの鼻垂らしは本当に人誑しでねぇ

本当に美味そうに食うし、いつの間にか町にも、あたしの心にも幸せをもたらしてのさ

本当に憎ったらしい人誑しだよ

白百合に囚われる

黒い髪、白い髪 黒い瞳、緑の瞳 傷だらけの体、玉のような肌 顰めっ面、微笑み 隙のない佇まい、いつでも殺せそうな儚さ 執事、主人 守る者、守られる者 ……あぁ二人は全く違う。 愛しい人、こんなに違うのにあなたは私を愛してくれる。手を差し伸べてくれる。 その美しい手で私を救ってくれ...