2025年12月23日火曜日

空気は食べるもの

 部室に広がる油、甘さ、の匂い。

 ドーナツ買ってきたと先輩は笑った。

 はい、と言われて伸ばした、手の平には空気が乗っている。

ドーナツは?

 意地悪気な顔、先輩は告げた。

そこにある。それはドーナツの穴だ。

 ケラケラ、ケラケラ。

食べましたね、俺のドーナツ。

 軽やかな破裂音。

元々お前のじゃない。だがそうだな。

 先輩は、猫、

お前がそんなに穴以外のドーナツを欲しいなら。

 指先はナイフ。切れないけど。

お前が のドーナツの穴を証明してみろ。

はぁ?

お前のドーナツと のドーナツ、等価交換だ。

 先輩は猫じゃない、カメレオンだ。

……どこが等価なんです?

 ケラケラ、ケラケラ。

 先輩は のように笑った。


あ、ちなみに何処で買ってきたんです?

自販機。

自販機!?

白百合に囚われる

黒い髪、白い髪 黒い瞳、緑の瞳 傷だらけの体、玉のような肌 顰めっ面、微笑み 隙のない佇まい、いつでも殺せそうな儚さ 執事、主人 守る者、守られる者 ……あぁ二人は全く違う。 愛しい人、こんなに違うのにあなたは私を愛してくれる。手を差し伸べてくれる。 その美しい手で私を救ってくれ...