2025年4月30日水曜日

使い回しの脚本

古い洋館に響くキミの嗚咽
連綿と続く血はキミを呪い
その薄い双肩に勝手に背負わせる
運命の悪戯は歯車を狂わせ
幸せになるべきキミは壊れた
私は探偵、故にキミに告げる
キミは一線を越えてしまった
犯してはならない罪を犯した

たった一度の冒険だったのだろう
最初で最後の自由だったのだろう
それが全てを壊してしまったのは
ある意味とても皮肉的なことだ
私は探偵だがキミの友でもある
だから友として、キミに告げる
もう頑張らなくて良い
血も歴史も呪いももうキミを縛りはしない
キミの目の前にあるのは新しい自由だ

探偵として、友として、キミに告げる
キミが罪を償った後で、キミと再び出会える日を私は待っている

2025年4月29日火曜日

狐はつまんだ

コンコンコン

おやぁこんな夜更けにどないしました?
こぉんな人気のない森の奥で
ずぅっとポツリ一人居よってからに
まぁ外は寒かやろ、家に入りぃや

特に何も無いさかい、そこらに生えてる葉の茶やけどええか?
ほんで、こぉんな深い夜の中不用心に彷徨いてたん?

ほぅほぅ寺に行く途中で迷子になったと
それにぃ?あっという間に夜になっていたと

それはあんさん、狸にでも化かされたんやろねぇ?
ほぅらあのぽんぽこ共は化かすのが好きやさかい
あんさんおマヌケそうやし馬鹿にされたんやろねぇ

アハハまぁまぁそんな怒らんといてやぁ
化かすモノらは楽しいからそうするんや

わかるわぁ、自分もそうやもん

ん?あんさん今頃気付いたん?
あんさんやっぱおマヌケさんやねぇ
こんな鈍くて他の狐狸たちに
パクと喰われんか心配やわぁ

まぁ久しぶりの人間との茶も楽しかったし
礼と言うのも何やけどここから逃がしたるわ

──コンッ


夕日が照らす森の中
狐がコンと鳴いたので
早くお家に帰りましょ

コンコンコン!

2025年4月28日月曜日

天工の慈しみ

緑の山
千尋の谷
月の渓谷
芝と青葉
火の粉に熔岩
霜の草原
隆起の漣

これらは宝 私の宝だ

2025年4月27日日曜日

雷声

叫べ 叫べ 叫べ

わたしは此処にいる

揺らせ 揺らせ 揺らせ

脳<愛>を溶かしてしまう程に

壊せ 壊せ 壊せ

わたし<愛>を認めないくらいならば!

2025年4月26日土曜日

欣幸ノ加護

光さす青き湖 船を漕ぐ
風しなる水面 弧を描く
緑揺らぐ花畑 香を纏う
遥かなる大空 時を刻む
ᛒᛚᛖᛋᛋ ᛏᚺᛁᛋ ᚥᛟᚱᛚᛞ
ᛗᚪᚤ ᚤᛟᚢᚱ ᛚᛁᚠᛖ ᛒᛖ ᛒᛚᛖᛋᛋᛖᛞ


光落ちる平野 野を駆る
風やまぬ草原 影を揺す
緑広がる森林 橙を装う
遥かなる大地 生を刻む
ᛒᛚᛖᛋᛋ ᛏᚺᛁᛋ ᚥᛟᚱᛚᛞ
ᛗᚪᚤ ᚤᛟᚢᚱ ᛚᛁᚠᛖ ᛒᛖ ᛒᛚᛖᛋᛋᛖᛞ


光零れる砂漠 星を仰ぐ
風すさぶ砂丘 遠を見る
緑連なる清水 命を紡ぐ
遥かなる夜闇 孤を刻む
ᛒᛚᛖᛋᛋ ᛏᚺᛁᛋ ᚥᛟᚱᛚᛞ
ᛗᚪᚤ ᚤᛟᚢᚱ ᛚᛁᚠᛖ ᛒᛖ ᛒᛚᛖᛋᛋᛖᛞ


光反射す雪山 息を飲む
風あそぶ粉雪 音を穿つ
緑隠れる樹氷 日を掴む
遥かなる明星 名を刻む
ᛒᛚᛖᛋᛋ ᛏᚺᛁᛋ ᚥᛟᚱᛚᛞ
ᛗᚪᚤ ᚤᛟᚢᚱ ᛚᛁᚠᛖ ᛒᛖ ᛒᛚᛖᛋᛋᛖᛞ

2025年4月25日金曜日

鯨骨と桜

なぁ、我らは対照的だと思わんか?
春にだけ咲いてすぐに散る花に
長い時間己が意思で海を悠々と泳ぐ魚だ
それが別に羨ましいとは思わんよ、何ものにも産まれ持った個性と言うのがあるからな
吾は桜で、汝は鯨
それは変える事の出来ない事実で、何ものにも侵す事が出来ない命の組み分けだからな
長く海中で縄張り争いを勝ち泳いだ魚と
長く大地に根を張り生きる花か
おぉ、これは対称的だと思わんか?

……
あぁ、今宵は良い風が吹いておるな

……
鯨、鯨よ 死後に骨だけ祀られるとはどんな気分だろうな

……
汝は死後海から陸へ来た ならば吾は朽ちれば海へ行こう

……
あぁ、しかしその時に汝がおらぬのはちと寂しいかもな

2025年4月24日木曜日

りんごキャラメル煮

りんごキャラメル煮
薄茶色で美味しいアイツ
でも本当は食べたことないの

りんごキャラメル煮
噛むとしゃりっとしてしゅわってなるわ
でも本当に食べたことないの

りんごキャラメル煮
ほろ苦いカラメルが最高よね
まあ食べたことないのだけれど

本当よ? 本当に食べたことないはずなの
だけどなぜか風味と食感を知っているわ

りんごキャラメル煮
心が満たされる幸せな味
いつか本当に食べてみたいわ

2025年4月23日水曜日

キューピットのジレンマ、またはとあるキューピットの多世界解釈

例えばこの矢で二人の仲を結んだとして、それで二人は恋に落ちるけど
もしボクが矢を放たなかった結果二人か、もしくはどちらか片方が別の人と結ばれたとしたら
矢を放ったボクはその結ばれるはずだった人の運命を狂わせた事になるのかな?

例えばその人をまた別の人と結ばせたら、それは二人が恋に落ちるはずだった
けどボクが矢を放った事でならなかった人が、確かにどこかに居てその人と結ばれなかったとしたら
矢を放たなかったボクは結ばれるはずだった四人の運命を変えた事になるのかな?

ねぇ主様
恋のキューピットなんて言われるけど、ボクは今持っているこの矢がなんだかとても怖いんだ

2025年4月22日火曜日

微炭酸メルト

缶チューハイの微睡み
静かにフチをなぞる
君の指先と眼差し

2025年4月21日月曜日

見てる
見てるよ
みーんな視てる
壁の曲がりから
窓の視向こうから
棚の隙視間から
扉の奥から視
視天視井の影から
椅子の下視から
鏡視の中視から
カーテ視ンの裏から
貴方の後ろから
見てる
見てるよ
みーんな視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視視てるよ

2025年4月20日日曜日

好きなもの─景色の場合─

目を閉じると青空と海が見えるんだ
それはとても綺麗で、冷涼で
僕は白くて美しい氷のような雪が降り積もった大地の上に立っている
その白い大地は遠くまで続いていて
海岸の端っこに寄れば青空と海と一緒に眺められるんだ
僕はそれを見るのが大好き
それはとても綺麗で、儚くて
息をするのがとても楽で、もし最期を迎えるならこの景色を見ながらが良いなって思うんだ

とても、とても綺麗なんだよ

2025年4月19日土曜日

鳥籠

西日が差し込む物置小屋の
部屋の中央に置かれた大きな鳥籠
彼女はその鳥籠の中でただじっと息をしていた
人間ではない
動物ではない
しかし生きている
いつから居るのか誰も知らない
きっと彼女ももう覚えていない
永遠とも思える長い長い時の中
彼女は待っている


それは昔昔のおとぎ話
遥か先の未来を見据えた人身御供
彼女はその時のためだけにただじっと息をしている
人間には無い
動物にも無い
特別なチカラ
いつ使われるのかまだ分からず
故に彼女は家に帰れない
永遠とも思える長い長い時の中
彼女は待っている


それは現代のおとぎ話
来たる未来のために取り遺された神話
彼女は窓の外の鳥達をただじっと見つめている
恐怖は無い
悲しみも無い
ただ帰りたいだけ
いつまでも続いて行く孤独
それを彼女はもう数えていない
永遠とも思える長い長い時の中
彼女は待っている

2025年4月18日金曜日

勿忘草

太陽が昇り目を覚ます
夢の中で大切な誰かを見た気がした
それを思い出したくて考えるけど、考えれば考える程それが何なのかぼやけていく
なぁ、お前なのか
不器用な笑顔、笑い方を忘れたお前が初めて俺に笑ってくれた時本当に嬉しかったんだ
なぁ、もう一度笑ってくれないか

太陽が昇り目を覚ます
もはや数えたくない程日が流れた
周りにお前を知らない者が増えていく、それが正しいとわかっているのに無性に叫びたくなる
なぁ、何処にいるんだ
温かな体温、寒空の下で泣くお前を抱きしめて命の熱さを感じた時本当に泣きたくなったんだ
なぁ、もう一度抱きしめたいんだ

太陽が昇り目を覚ます
夢の中で大切な記憶を思い出した
予備の過去なんて無いのになぜ忘れていた、仕方のない事だと笑って受け入れたくないんだ
なぁ、土の下は寒くないか
最初で最後の嘘、正直者のお前の事だから誰かの為の嘘だと気づいた時本当に誇らしく思ったんだ
なぁ、もう一度声を聞きたいよ

忘れたくない 忘れたくないんだ
過去がすり減ってることに気づく度、執着が増えていく
家の中でお前の名残りを見つける度、諦観と哀愁を覚える
夜闇に目を閉じ新たな朝が来る度、もしもの世界を考えてしまう
なぁ、寂しくないか
俺は寂しいよ、あの後に渡すはずだったお前の大好物を一人で食べた時本当に寂しくなったんだ
なぁ、もしもう一度出会えたならまた家族になってくれるか

2025年4月17日木曜日

頑張らな~いのうた

何だか体が重くてやる気でな~い(でな~い!)

元気がないわけじゃないんだけど~

何だか体を動かすのがめんどくさ~い(めんどくさ~い!)

ラ~タラッタ~♪ラッタッタ~♪

ちょっぴり怠いだけで気分は悪くないのよ?(のーよー!)

鼻歌だってほら!いい気分で奏でちゃうし?

だけど体を動かすのがめんどくさ~い!(めんどくさ~い!)

ラ~タラッタ~♪ラッタッタ~♪

だから今日は頑張らな~い(頑張らな~い!)

必要最低限な事だけやって~

後はもうゆるゆるダラダラおやすみよ~(おやすみよ~!)

今日も息しててハート動かしてる!えら~い!(えら~い!)

ラ~タラッタ~♪ラッタッタ~♪ ラ~タラッタ~♪ラッタッタ♪ ラ~タラッタ~♪ラッタッタ~♪

今日も息してハート動かしてる!えら~い!(えら~い!)

とってもとっても頑張ってる~(頑張ってる~!)

だから今日は頑張らな~い(頑張らな~い!)

必要最低限な事だけやって~

後はもうゆるゆるダラダラおやすみよ~(おやすみよ~!)

2025年4月16日水曜日

ここはどこのほそみちじゃ

田舎の人気の無い夜の道
月明かりだけが差す小道
嗚呼前も後ろも黒まみれ
一寸先しか分からぬゆえ
入り込まない様ご注意を

2025年4月15日火曜日

HERO

「強くなりたい」

目をギラギラと尖らせ君は言う
ギラギラ ギラギラ
まるでかつての自分を見ているようだ
だから振り払ったのに

「強くなりたい」

瞼に血を乗せ君は言う
ドクドク ドクドク
まるでそうしないと死んでしまうと言ってるようだ
だったら そうなってしまえ

「強くなるんだ」

泥を啜ってでも君は言う
ザラザラ ザラザラ
まるで紙やすりで心を擦られているようだ
だったらどうしろっていうんだ

「強いんだろ?」

目をキラキラと光らせ君は笑う
ポロポロ ポロポロ
まるで心を覆う土壁が剥がれていくようだ
……だめかもなぁ


あの日に全て失くしたと思っていた
夢も友も力も大切なもの 宝物だったもの
もうどうでもいいと思っていたのに
君が境界線を軽く越えて触れてきた
擦り切れた感情が強く脈打つ

「強くなりたい」
『強くなるから』

目をギラギラと尖らせ君は言う
ギラギラ ギラギラ
まるでかつての自分を見ているようだ
だからその手を取った
さぁ、堕ちた英雄の凱旋だ!


だから君は大事なものを失くしてくれるな



Hero Resurrected

2025年4月14日月曜日

余情

下駄の音がカンカラリ
人に紛れ人喰らう
妖なる物の怪悪即斬
その御仁かくも天女の様に艶やかに
されど修羅の如く激烈に
なにゆえその身で屠るのか

笛の音がヒュウヒュルリ
人に紛れ流れ行く
妖なる物の怪悪即斬
それは一体何モノなるか
それに理由など要りましょうか?
なにゆえあなたは枯れぬのか

下駄の音がカンカラリ
雨にうたれパラパラリ

流れに流れ
妖斬りて
世を流る
花筏の如き人生よ

おかしな話し
人生なぞと
それを語る
お主は誠に人か?

人に紛れ人喰らう
妖なる物の怪屠れども
いいえ
いいえ
この世に境が在る限り
私は何モノにも成れないでしょう

笛の音がヒュウヒュルリ
落ちる花弁ハラハラリ

流れに流れ
妖斬りて
時渡る
骨壷流す花筏よ
お主は一体何モノなるか

流れに流れ
妖斬りて
世を流る
ただ流れるだけの花筏
それに理由など要りましょうか?

2025年4月13日日曜日

幻覚/現実/侵食

ポケットから落ちたコインがチリンと鳴って転がって、大きなメロンにカツンと当たって止まったよ。

そしたらキリンがパクンとメロンを食べちゃって、唖然としてたら霞んで消えちゃった。

いつの間にワインでも飲んだかな? プリンを食べる前に味醂を使ったご飯を食べてたのは覚えてる。

ちょっと胡乱な物を見てしまった、これじゃいかんと首振ってパシンと頬を叩いてみた。

さぁ食べ直しだ、プリンも良いがミカンも良い。うどんはデザートじゃないよ。

2025年4月12日土曜日

命の使い方

目覚めた時から鳥籠の中で生きてきた
顔の形、髪の色、声の質
全てがアイツらから渡された資料に記載されたモノと同じ
お前はソイツの代わりなのだと白衣を着たアイツらは言った


息を始めた時から誰かの為に生きてきた
指の形、目の色、思考回路
全てが奴とそっくりだなと元となった奴の知り合いは笑っていた
お前はソイツの代わりではないと私を攫ったアイツらは言った


音を認識した時から戦う為に生きてきた
背中の形、肌の色、無意識の仕草
全てがあの人と似ていると元となった奴の仲間は泣いていた
君は君でいいんだと過保護なアイツらは言った


私は

私は何の為に生まれてきた


形作られた時から死ぬ為に生きてきた
顔の形、髪の色、声の質
全てがアイツらから渡された資料に記載されたモノと同じ
指の形、目の色、思考回路
全てが奴とそっくりだなと元となった奴の知り合いは笑っていた
背中の形、肌の色、無意識の仕草
全てがあの人と似ていると元となった奴の仲間は泣いていた

私は

私は


ああそうか

私は

私は好きな人達を守る為に生まれてきたんだ

2025年4月11日金曜日

帰ろう

今日も一日お疲れ様
昼間は雲一つなかった青空も
今は紫になりかけて次第に藍になるだろう
昼間は涼しげだったお月様も
今は柔らかな光を纏い僕達を見守っている

帰ろう
僕達は今日も息をして
僕達は今日も動いて
僕達は今日も生きている

今日も一日お疲れ様
今日は良いことあったかな
それとも嫌なことがあったかな
家路につく人達も
そうじゃない人達も
今日を生きている
生きて、いずれ来る明日を思い描いている

ありがとう
さようなら
お疲れ様
また明日
何気ない言葉を繰り返し
僕達は今日も夜を繰り返す

2025年4月10日木曜日

8 23

掃除中の物置きから出てきた古い写真
少し色褪せた藍色の着物
友達と楽しそうに話してる横顔
8月が終わる前に引っ越さなくちゃいけなくて
最後の思い出に本当は声をかけたかったのだけど
提灯に照らされたあなたの顔を見たらそんな勇気が出なくて
だからこっそりと後ろ姿を撮った

今も元気かな?
幸せだったら良いな
遠い夏の記憶を思い出し思いを馳せた

2025年4月9日水曜日

王蛇

跪きなさい

誰も知らない霧深い次元
一匹の大蛇が目を覚ました
蔦に覆われた城の地下深く
赤紫色の瞳を光らせ
王はのそりと鎌首をもたげる

頭を垂れなさい

誰もがいなくなった終の次元
かつての王者は目を細めた
霧に覆われた森の奥深く
数多命屠る牙を尖らせ
王はふるりとその身を震わす

畏れなさい

誰も命果てた果ての次元
かつての聖者は目を閉じた
闇に覆われた傷はなお深く
荒れた大地に鱗を捻らせ
王はそれでも前へと進む

前へ 前へ 前へ
百年でも千年でも
例え一万年を越え百万年経とうとも
かつての王蛇は灯火を探す
その果てにその身朽ち果てようとも
それが民の願いであるならば
そして己が信念であるならば

2025年4月8日火曜日

噛ませ役

昔からお前には勝てた事がなかった。
テニスも、リコーダーも、鬼ごっこも、テストも、リレーも、料理も、バレンタインのチョコの数も。
お前は昔から完璧超人だった。
いつでも完璧で、誰よりも上で、誰にでも平等で、顔だって良くて、それでなお努力家だった。
俺はお前が恐ろしかった。
化け物、怪物、超人、悪魔、そう思った。なんだって出来る奴だと思った。
思った、思ってたんだ。
俺は、お前がお前以外の奴に負けるなんて想像もしてこなかった。
お前は昔から完璧超人だった。
いつでも完璧で、誰よりも上で、誰にでも平等で、顔だって良くて、それなのに努力家なんだ。
巫山戯るなよ。
俺は昔からお前に勝てた事がないんだよ。
バスケも、ギターも、隠れんぼも、パズルも、騎馬戦も、カラオケも、初詣のおみくじだって。
巫山戯るな。
完璧超人のお前が負けたら俺は、俺の目指してきた物はいったい何だってんだ!

……何だよ、何で笑ってんだよお前。
やっぱりお前は化け物だ。

2025年4月7日月曜日

ココロ

綺麗な歌を口ずさんでいたら
自分がわからなくなった、ココロはどこに?
わからないや、コロコロココロ歌ってみるの
淡い青を見上げて口ずさんでテキトーなステップ!
綺麗ね、綺麗ね
何にもわかんなくて世界がとても綺麗なの!
クルクルクルリ、それともタンタンタッタッ?
ビートに合わせてちょっとだけ鼓動が速くなって
それが何だかとても愛おしい
楽しいな!楽しいな!
もっと!もっと!

……あぁでも、いつか歌は終わるもの
切ないけど、悲しいけど、終わりがあるから愛おしい
ココロ、ココロ、ココロはどこに? 次のビートが始まるよ?
ほらほら自分が自分じゃなくなる感じ、サイコーでしょ!
ララララルラ、ララララルラ
堕ちゆく星たちを見上げてテキトーなステップ!
何にもわかんない世界がとても綺麗なの!

2025年4月6日日曜日

光芒

彼は海を見ている
彼は光を待っている
彼は再開を望んでいる
彼は秘されるのを拒んでいる
彼は傍に行く事を切望している
彼は己の弱さに絶望している
彼は強くなる事を表明している


彼は前を見ている
彼は光を追いかけた
彼女は忘却を望んでいた
彼はもはや秘された存在ではない
彼は並び立つ事を切望している
彼は己の弱さを強さに変えた
彼は強くなった事を表明している

2025年4月5日土曜日

Secret party

血の様なRougeは私のお気に入り
唇に纏わせて武器にするの
華奢な華を引き立てるドレスに着替えたら
さぁ今日も魑魅魍魎が蔓延る楽園へ

今宵のSecret partyは特別
壇上に置かれた極上の宝石
秘された石は無遠慮に暴かれ晒され
その輝きにみィんな恥ずかしげもなく虜

醜悪で満ちたLabyrinth
この場所に希望なんて無いわ
それでも失わない輝きに目眩がして……
大丈夫よ、今ぶち壊してあげる

真っ赤なRougeは私にとって拳銃
唇に乗せるだけが能じゃないの
真っ黒な腹に引鉄を引いて惑わせたら
さぁ一気にこの楽園は崩壊するわ!

Bang! Bang! Bang!

Bang! Bang! Bang!

Bang! Bang! Bang!

どんなLabyrinthもいつか踏破される物
一斉に響いた乱れの無い銃声
これでも後ろの子達の指揮官なのよ、私
言ったでしょ?ぶち壊してあげるって

今宵のSecret partyもこれにて終幕
壇上に置かれた極上の宝石
秘された石は美しく秘されたままに
その輝きに手が届かないくらいが丁度いい

2025年4月4日金曜日

恋心

ふとした瞬間あなたが好きになった、たぶん。
あなたの笑った顔が好き。
あなたの低い声が好き。
あなたの仕草が好き。
たぶん、これは恋というヤツなんだと思う。
本で読んだのより案外心は平静で、
テレビで観たのより随分と穏やかで、
歌で聴いてたのより多少柔らかくて。
今まで一瞬も恋だの好きだの無かったけど、うん。あれが恋なら悪くないかも。
あなたの暖かい瞳が好き。
あなたの大きな手が好き。
あなたの気遣いが好き。
あなたという存在が好き。
たぶん、これが恋というヤツなんだろう。きっと、最初で最後の恋心だ。

2025年4月3日木曜日

輝いていけ

僕らの日常は 脆く崩れていく
きっと きっと
まだ雨の中
そっと
悲しみを抱えて

都会の真ん中で
生きていく中で
きっと きっと
それでも僕らは
強く願った

輝いていけ


僕らの怒りは 儚く溶けていく
きっと きっと
ただ待っていた
ずっと
縋っていた
ずっと
信じていた

それでも生きていく

それでも生きていく

それでも
僕らの感情は
僕らの毎日は きっと続いていく
きっと きっと
誰かを想い
苦しみを抱えながらも
悲しみの向こう側
僕らの日常は 今日も続いていく
そしていつか
雨の日を越えて

輝いていけ

2025年4月2日水曜日

コイントス

たった一瞬が俺達の運命を決める
弾いた指先
上がる視線
速まる鼓動
落ちた硬貨
止まる呼吸
さぁ、出たのは表か裏か

2025年4月1日火曜日

好きなもの─桃の場合─

そこの君よく聞きなさい、桃は良いぞ。
まず見た目が可愛い。丸くてふっくらしてて可愛く、淡く色付いた紅色とまろみのある白が綺麗で美味しそうだ。

香りもたまらない。甘やかながらどこか上品で鼻腔をくすぐられると、思わず舌の裏に涎が溜まってしまう。

そして味だ。齧るとその甘さと濃さに思わず喉がギュッとなってしまう。さながら女神が微笑んでいるようだ。
しかしながらクドくなく後味は始めを思うと存外あっさりしている。

桃は良いぞ。
花言葉が天下無敵だ。強い、格好良い、最高だ。
何にでもなる。ジュースにも、飴にも、酒にも、ジャムにも、何なら漬け物にだってなる。

桃は良いぞ。
御伽噺に出てくるし、神話にだって出てくる。
縁起物だし物語内では何やら凄い効能である事が多い。

桃は良いぞ。
桃は代表的な白桃と黄桃が有名だがそれ以外にもある。ネクタリンは桃に入るのだろうか?どう思う君。

桃は良いぞ。
美味い、可愛い、素晴らしい。
しかしそれを君に押し付ける気はない。人の好物は人それぞれだ。私が桃が好きという話しなだけだ。

桃は良いぞ。
君は何が好きだ?

気付く

木津に寄付で築いた義父の金城 生酢が好きなキツツキが気付いたkillの跡 木槌で傷付いた逃走のキツツキ慌てて木筒に入る 「ちとキツいがしょうがない 菊を供えられるよりキュウキュウキツい方がマシさ」 さりとて犯人近くをギルギルと木槌で音を鳴らしグルグル徘徊中 さぁどうするキツツキ?...